相続で気になること~寄与分3~
寄与分は共同相続人の実質的な公平を図るための制度です。
自腹を切って親の介護をした者や、ほとんど無給で家業の発展に尽くした者と、何もしなかった者が、遺産を均等に受け取るのは不公平なので、それを是正するのが目的です。
ただし、共同相続人間の相続分の調整法であるために、法定相続人以外の人にはこの制度は適用されません。
相続人以外の人の貢献(例えば息子の嫁など)に対しては、被相続人が遺言で遺贈を指定するなどして報いるほかはありません。
また、相続人であっても寄与者として認められるためには、「被相続人の事業に関する労務の提供または財産の給付」や「被相続人の療養監護」などにより、「被相続人の財産の維持または増加につき、特別な寄与をした者」でなければならず、ただ一所懸命介護をしたとか、精神的に支えたということだけでは、寄与分は認められません。
また、どこからが寄与分か、寄与分を金額に換算するといくらになるのかの判断はとても難しく、相続問題における難問のひとつです。
なお、介護などに関しては、相続人と実行者が別であっても、寄与分が認められることがあります。
例えば、妻が夫の代わりに、夫の親の介護を引き受けるということは多くみられます。
夫の親が亡くなり相続となっても、妻は夫の両親の相続人ではないため、普通に考えると寄与分は認められません。
しかし、民法の判例・学説には、履行補助者という考えがあり、履行補助者の行為は本人の行為とみなすとされています。
このケースでは、妻が履行補助者にあたり、妻が夫(相続人)に代わって親を介護していたのですから、その行為は夫の行為でもあるとみなされて、相続人である夫の寄与分が認められることがあります。
相続 花子
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。