仮登記がついている不動産を相続した時の注意点について
仮登記がついている不動産を相続した場合、売買するにはどうすればいいでしょうか。
仮登記とは、本登記をするのに必要な形式的要件や実質的要件が揃っていない場合に、将来要件が揃って本登記した場合の順位を確保するために、予めしておく登記のことです。
本来、登記は法律に別段の定めがない限り登記をした前後によって優先順位が決まります。つまり早く登記した者勝ちということのようです。
しかし、少々の要件が欠けるために登記が全くできないということは当事者にとって不利益になりますので、それを防ぐために仮登記の制度があるのです。
仮登記をすることによって、その後に本登記をした場合、その本登記は仮登記をした日に遡って、その日に本登記をしたのと同じ効果の発生が認められます。
これが仮登記の順位保全効力です。
したがって、仮登記だけでは登記本来の効力をもちませんので、仮登記のついている不動産でも自由に処分することができますが、その後に仮登記に基づいて本登記がなされた場合には、その本登記が優先しますので、先になされた処分は覆されることになります。
ですから、仮登記だからといって過小評価することは禁物です。
相続した不動産の買主の立場にたってみると、不動産を買ったのにその売買がその後に仮登記が本登記されることによって、いつ覆るか分からないような不安定な状態に置かれることは望ましくありません。
仮登記のついた不動産を処分する場合は、仮登記権利者と話し合って仮登記を抹消してもらうことが必要だと思われます。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。