相続・遺言の話~無権代理の相続について~
無権代理(むけんだいり)とは、本人を代理する権限(代理権)がないにもかかわらず、ある者が勝手に本人の代理人として振る舞うことをいいます。
相続などにより無権代理人の地位と本人の地位が同一人物へ帰属することがあり、相手方との関係で問題となります。
また類似する論点として他人物売買と相続の問題があります。
相続による混同
- 無権代理人が本人を相続した場合
- 無権代理人が単独相続した場合
- 判例は「本人が自ら法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当」として当然に有効なものとしている。
- 無権代理人が他の相続人とともに共同相続した場合
- 判例は本人の追認権は全ての共同相続人に不可分的に帰属するとして、「他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部分においても、当然に有効となるものではない」とする。
- 本人による追認拒絶後に無権代理人が本人を相続した場合
- 判例は「本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない」とし、その理由として「本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効果が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができ(ないこと)」をあげている。
- 本人が無権代理人を相続した場合
- 判例は相続人である本人が無権代理行為について追認を拒絶しても信義則には反しないとして、「被相続人の無権代理行為は一般に本人の相続により当然有効となるものではない」とする。
ただし、判例は本人が無権代理人を相続する場合にも相続の対象には民法第117条による無権代理人の債務が含まれるので、この債務については「本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあつたからといつて右債務を免れることはできない」とする。自身で判断せず、一度無料の相談にご来所くださいませ。
相続花子
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。