相続・遺言の話~「家・土地が売れない」が招く相続の落とし穴~
「家・土地が売れない」が招く相続の落とし穴という記事が、日本経済新聞に掲載されていました。
相続した家や土地を売却してお金に換えたいという層にとって、逆風が続いています。
前回は所有者不明の農地や森林がテーマでしたが、「空き家が全国で増えている」というニュースを目にすることも多くなりました。
現在平成25年度(2013年度)の最新データ調査が行われている最中ですが、総務省が5年ごとに行っている「住宅・土地統計調査」によれば、平成20年(2008年)10月時点のデータでも、総住宅数に対する空き家率は「13.1%」の高率となっています。
また、1世帯あたりに対して何戸の住宅が存在しているのかという住宅戸数のデータを見ても、ひとつの世帯につき「1.15戸」が存在している状態です。
この数字からも、住宅の供給が過剰ぎみであることが浮き彫りになってくるでしょう。今年度の調査でも、こういった数字はさらに上がると推測されるかもしれません。
さらに、同じ統計で10年間の空き家率の推移を見ると「地方での上昇が目立つ」ということもわかります。地方では「死亡者が出生者よりも多い」ことや「都市部への人口流出」などが原因でしょう。
一方で、都市部は需要と供給が安定しているように見えますが、都心からのアクセスが少し不便な郊外の住宅地などでは、都心回帰の流れから「地方と同様に空き家率が上昇している」「今後上昇してくる」というのが、実際の現場感覚と近いように思います。
こうした空き家率の増加は相続トラブルとも無縁ではありません。
相続トラブルの「代表選手」のひとつに「主要な遺産が不動産に偏っているため、うまく分けられない」というものがあります。
このような場合「遺産分けをお金で調整できない」というばかりでなく、ケースによっては「相続税を納めるお金すら準備できない」といったトラブルにもつながることがあるのです。
もし遺産の中に十分なお金がある、あるいは当事者となる相続人たちの懐に余裕がある状況ならば、「不動産を相続する人」と「お金を相続する人」ということで、うまく分けることができるかもしれません。
しかし、必ずしもそういったケースばかりとは限らないのが現実です。
十分なキャッシュが用意されていないために、「遺産の不動産を売却してお金に換えて、その代金を相続人たちで分ける」という方法を検討する場合も少なくないでしょう。
これがいわゆる「換価分割」という方法です。
このやり方で遺産を分けることに当事者の相続人全員が同意すれば、不動産の持ち分そのものを巡ってもめる必要はなくなります。
「遺産の内訳が不動産中心で、現金が不足している」という場合には、最終的にはこの換価分割によるしかない……という可能性が高まってくるでしょう。
ところが、この方法にはひとつの大きな「越えるべき壁」が存在しています。
それは「不動産の売却がスムーズに進んで、初めて可能になる分け方」だという根本的なところです。
先ほどの空き家の統計からも明らかなとおり、地域によっては空き家率が増え、住宅の供給が過剰ぎみで、決して「売り手有利な市場」とはいえない部分もあるでしょう。
こうした地域での不動産売却は今後、買い手がつかないという理由からますますスムーズに進まないような事態も予測されます。
ぜひ一度、初回無料の相談にご来所ください。
相続花子
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。