エンディングノートと遺言書の違いについて
書店に行くと、最近はさまざまなエンディングノートが並んでいます。薄いものからハードカバーや革製で箱に入ったものまで色々あり、選ぶのに困ってしまうほどです。
エンディングノートとは、自分の人生の記録や残された人に伝えたいことを書き記した「最期のノート」です。そして、あなたがあなたらしく生きるみらいへのメッセージです。
エンディングノートを書くメリットとしては、次の3点があります。
(1)自分が万一のときも、財産の所在等で家族が困らない。
(2)家族に対して自分の気持ちを伝えることができる
(3)自分自身の備忘録としても使える
エンディングノートに書く項目は、およそ次の通りです。
●自分のこと(学歴・職歴・病歴・転居歴など)
●資産のこと(預金・株式・カード・保険・年金・ローンなど)
●親族のこと(続柄・住所・氏名・連絡先・冠婚葬祭の記録)
●友人のこと(関係・住所・氏名・連絡先・冠婚葬祭の記録)
●介護・治療のこと(告知・臓器提供・終末治療への要望など)
●葬儀の内容や墓のこと(規模・宗派・予算・喪主・埋葬方法など)
●遺言的な内容(法的効力はないので、エンディングノートには書かない方がよい。)
●電子情報(メールやネットのアカウント・パスワード・パソコンデータの処分方法)
●大切な人へのメッセージ
書店の店頭にあるエンディングノートは、内容的にはほとんど同じです。内容に違いがほとんどないのならば、購入するときのポイントは「安さ」でしょう。そして、自分の人生の集大成と構えずに気軽に書き始めることが大切ですから、安いということは、こうした面から重要です。
<<遺言書と何が違うの?>>
エンディングノートと似たものに遺言書があります。どちらも残された人に伝えたいことが記載されているという共通点があります。
エンディングノートは、上の例示にあるように、財産の所在、親族のこと、治療のこと等又は自分自身の覚書的なことに重きが置かれています。一方、遺言書は主に財産分与などについての正確な記述が求められています。
要件を備えた遺言書は法的効力を持ちますが、エンディングノートは法的効力を持たないという違いがあります。
相続人でない人への財産分与のように、法的効力のある遺言書でなければ実現できない故人の遺志もありますから、エンディングノートには遺言的なことは書かない方が良いということになります。
これによって、遺産分割的な記述についてのエンディングノートと、遺言書との食い違いが生ずることを防止することもできます。双方の内容に整合性がない場合は、もめる原因になりやすいとも言えます。
<<まずは気軽に書いてみよう>>
エンディングノートは書店に行かないと買えないものではありません。民間団体や地方行政機関でもweb上に公開しています。まずは手に入れて、とにかく書いてみましょう。最初から順番にでなくても書けるところからでよいのです。
書いているうちに、自分自身のさまざまなことが整理されてきます。そして、次の段階で遺産分割の内容については、遺言書を書きましょう。
あなたが大切に思う人や、あなたを大切に思ってくれる人が一人でもいたら、その人たちのために書きましょう。遺すのは財産だけではありません。あなたの心を残すのです。
以上、こちらのサイトから引用いたしました。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。