相続税対策の営業強化
毎日新聞より
遺産のうち相続税がかからない「基礎控除額」が来年1月から縮小されるのを前に、証券会社が株式や投資信託の生前贈与を顧客に勧める動きが活発化している。少子高齢化による「大相続時代」を迎え、60〜70代の顧客を多く抱える証券業界は、節税効果を売りに株や投信を子や孫に引き継いでもらい、若い世代の投資につなげようとセミナーなどに力を入れている。【土屋渓】
◇次世代の投資求め…来年1月から基礎控除額縮小
基礎控除は従来の「5000万円+1000万円×法定相続人の数」から、来年以降は「3000万円+600万円×法定相続人の数」に縮小される。一昨年に課税対象となった人は死亡者全体の4.2%(約5万2000人)だったが、基礎控除引き下げで7%程度まで増えると予想される。
野村証券は今年2月から、顧客向けの相続対策セミナーを全国の支店で展開。株や投資信託を生前贈与し、その資産を少額投資非課税制度(NISA)で運用するプランなどを案内している。生前贈与だと、現金だけでなく株や投信も、もらい手は1人当たり年間110万円まで贈与税が控除される。子や孫に贈与を続けると将来の相続財産が減り、払う税金が少なくて済む。
株や投信は価格変動リスクがあるため、現金に換えて相続しようとする人も多い。証券各社は、株や投信のままでの生前贈与や、承継した現金の株式運用を呼びかけるセミナーを頻繁に開き、子や孫の世代にも投資を続けてもらおうと躍起だ。
SMBC日興証券は今月5日、相続や葬儀の心構えをテーマにした「終活シンポジウム」を東京都内で初めて開催。約100人の高齢者で会場は満席となった。同社は日本生命保険とタッグを組み、相続税軽減策として、生命保険の死亡保険金が法定相続人1人当たり500万円非課税となることを紹介。生保未加入者が多い高齢者に契約を勧め、子や孫には受け取った保険金を投資に回すことを呼びかける計画だ。
大和証券は昨年から、顧客の子や孫が証券口座を開設する場合、優遇金利などの特典を適用するサービスを始めた。若い世代の口座開設を促し、親世代の資産を引き継いでもらう狙いだ。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。