父の死後、婚外子が発覚 遺産分けで平等の権利
日本経済新聞にこんな記事が載っていました。
以下、引用。
父が亡くなった。
遺言はなかったので母や妹と遺産をどう分割するか話し合いを始めたが、相続手続きを依頼した弁護士から「父親には認知した子供がいる」と聞いて驚いた。
弁護士によるとその子供は遺産の受け取りを希望している。
相続では被相続人(死亡した人)の遺言がない場合、遺産分割協議が必要です。
何を、誰に、どれだけ相続させるかについて話し合います。
前提として遺産を全て洗い出し、法定相続人にあたる人を確定する必要があります。
遺産分割協議の内容については全ての相続人の合意が必要です。
遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名し、実印を押さなければなりません。
財産の洗い出しも時間がかかりますが、想定していなかった相続人の出現がトラブルの大きな原因となります。
典型は、被相続人が以前結婚していた時の子供や、生前に認知した婚外子です。
遺産分割や相続税の申告などの相続手続きでは被相続人が生まれてから死亡するまでの全ての戸籍謄本が必要です。
想定外の相続人はほとんどの場合、戸籍謄本を調べればわかります。
前婚の子供、認知した婚外子には、後の婚姻時の子供や婚内子と同等の法定相続分が認められています。
最低限の相続分(遺留分)も同様です。
婚外子の法定相続分は長い間、婚内子の半分とされていましたが、2013年の最高裁の違憲判決を受けた民法改正で同じ割合になりました。
このケースでは仮に婚外子がいなかったとすると法定相続分は母が2分の1、Aさんと妹が4分の1ずつでした。と
ころが婚外子がいる場合、母の法定相続分は変わりませんが、Aさんと妹の法定相続分は6分の1ずつとなり、婚外子も同じく6分の1です。
相続分が減るのが嫌だからといって婚外子を除いて遺産分割協議をしても無効になります。
協議に加わるという婚外子の要請は断れないのです。
とはいえ、長く父と暮らしてきた方からすれば、関係が疎遠な婚外子と相続分が同じというのは納得しがたいでしょう。
弁護士ら専門家に間に入ってもらうのが無難でしょう。
直接話ができればいいですが、そういう例は少ないそうです。
その上で多くの専門家は「分割協議では被相続人の介護など生前の生活関係や貢献度を考慮することが大切」と言います。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。