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生前にお墓を建てる

お墓は遺骨を埋葬する場所。そのためお墓を建てるのは、「亡くなった方の遺骨を納めるための場所が必要になったとき」と考えられがちですが、必ずしもそうではありません。自分のお墓、家族のお墓を元気なうちから探しておきたいと考える人が増えています。その多くは、残された人の負担を少しでも軽くしておきたいという配慮から。節税(※)対策として生前にお墓を建てる人もいます。
※お墓は相続税や固定資産税の課税対象にはなりません。
 
お墓を建てる時期は基本的に自由。生前でも、亡くなってからでも、また亡くなってからしばらく経ってからでも可能です。納骨の期限が法律で定められているわけではありませんし、自宅に遺骨を置いてはいけないという法律もありません。しばらく自宅に遺骨を置いて、気持ちの整理ができた時点でお墓を探したり、納骨しても良いのです。
 
 
寿陵(生前墓)
 
生前に建てるお墓のことを「寿陵」(じゅりょう)といいます。古くから「長寿」「子孫繁栄」「家内円満」の3つの果報を招くといわれていたとか。「寿陵」のことを「逆修墓」ということもあります。「逆修」(ぎゃくしゅ)とは仏教用語で、生前に自分の位牌や墓を 寿陵の場合、墓石に刻む戒名(法名)は、朱文字で入れることが多いようです。
 
 
 
寿陵(生前墓)のメリット1~4
 
1.自分で自由に選ぶことができる
自分のお墓についての希望を詳細に伝えたからといって、家族がそれを実現してくれるとは限りません。それぞれの事情にもよりますが、むしろ希望どおりにいかないケースのほうが多いといえます。寿陵の場合、場所や墓石の種類・デザインにいたるまで、自分の思いを反映させやすくなります。
 
2.時間をかけて選ぶことができる
亡くなってからお墓を探す場合、納骨の時期について法律で定められているわけではありませんが、だいたい一周忌や三回忌など区切りが良い時期を目安に建立する人が多いようです。日程が迫ってくると、その焦りもあって適当な妥協点をみつけて決めてしまいがちです。
寿陵の場合は、そういった時間的制限がありませんから、余裕をもって探すことができます。
 
3.残された人の負担を軽減できる
家族が亡くなった後、残された人は事務手続きだけでなく、片付けや遺品整理、法要準備などに追われて心身ともに大きなストレスを抱えます。生前にお墓を建てることによって、残された人達の負担を軽減することができます。
 
4.相続税を節約できる
家族が亡くなったとき、現金・預貯金・有価証券・不動産・宝石など、承継する財産すべてに対して相続税が課せられます。ただ例外として「墓所、霊廟および祭具並びにこれらに準ずるもの」に関しては課税されません。つまり、お墓を建てるために残しておいた現金に対しては課税されますが、お墓そのものは「祭祀財産」となり相続税が免除されるわけです。
 
 
寿陵の注意点1~2
 
1.さらに良い条件の霊園・墓地が見つかることもある。
あとで考えや好みが変わり、早くにお墓を建てたことを後悔する人もいます。生前にお墓を建てるときは、家族とよく話し合い、それぞれの事情に合わせて慎重に考えたいものです。
 
2.遺骨がある状態でないと申し込めない霊園もある
公営墓地などでは、遺骨がある状態でないと申し込みすらできないことがあります。すべての霊園・墓地が生前に建墓を受け付けているわけではありませんので注意しましょう。
 
 
段階的に建てる場合も
 
墓地を入手し永代使用権を取得したら、次はそこに墓石を建てることになります。墓石を建てる時期は基本的に自由ですが、霊園・墓地によっては「使用権取得後○年以内に墓石を建てなければいけない」といった規約を設けているところもあります。また、墓石を段階的に建てていくといった方法もあります。例えば最初に基礎工事をすませカロートをつくって納骨できるようにしておきます。次に外柵や根石をつくり、最後にメインの棹石を建てるといった具合です。
 
 
すでに手元に遺骨がある場合
 
すでに遺骨が手元にあって、お墓をすぐに建てたいという場合でも焦りは禁物。実際お墓が建つまでには、霊園や墓石の選定から、基礎工事や墓石の加工など一連の工程まで考えて半年くらいはみておきたいものです。特殊なデザインは石を考えている場合は、さらに3カ月ほど余裕を持っておきたいものです。
公営霊園の場合、申し込み資格に「すでに手元に遺骨があること」などの条件が入っていることもありますので、募集・抽選時期を待ってからゆっくり考えるのも良いでしょう。
お墓を建てる時期について法律で制約はありませんので、建墓や納骨の時期については、それぞれの家庭の事情に合わせて決めていきます。すぐにお墓の準備ができない場合、もう少し手元に置いておきたい場合などは、遺骨を仏壇などに一時的に安置しておいてもかまいません。自宅に置いておくことに抵抗のある人は、寺院の納骨堂などで遺骨の一時預かりをお願いすることも可能です。

 

ハムスターの独り言。
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この記事を監修した行政書士

P.I.P総合事務所 行政書士事務所

代表

横田 尚三

保有資格

行政書士

専門分野

「相続」、「遺言」、「成年後見」

経歴

P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。


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