「事務量の多い兄弟姉妹相続サポートも解決③~ちょっと待った!いつもとちょっと違うんです。小規模企業共済の相続手続き」(O府O市M様)
ご依頼の状況
M様(65歳)はO府O市にお住まいです。
令和3年1月に妹のA様が亡くなり、ご自身を相続人とする相続手続きを進めようとしているところです。
相続人は兄弟姉妹だと聞いたので、自分だけだと思うけれと、A様名義の金融機関に手続きに行ったら自分だけではないということなので、いったいどういうことなのか教えてほしいとまずは大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)の無料相談を希望されました。
相談内容
前回の解決事例の続きです。(前回の記事はこちら)
大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)は「小規模企業共済制度」に加入していた被相続人A様の相続による共済制度解約手続きの相続後手続きをどのように進めていったでしょうか。
司法書士のご提案
大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)の相談員は「小規模企業共済」の相続手続きを進めていきました。
前回の解決事例に記載しましたとおり、共済契約者の死亡に伴う受給権者の範囲および順位については機構のHPに掲載されています。
以下、引用部分より
共済金(解約手当金)について|小規模企業共済(中小機構)
これによると、共済契約者が死亡したことにより支給される共済金を請求できる者の範囲は、民法の法定相続の原則や遺産分割の原則とは異なっていることがポイントです。
今回のA様の相続人は兄のMさん(法定相続分2分の1)、甥のCさん(法定相続分4分の1)、姪のTさん(法定相続分4分の1)ですね。(前々回の解決事例より)
しかしながら、小規模企業共済の規定によると、今回のA様の共済金を受け取れるのは第6順位(主として共済契約者の収入によって生計を維持していた方であり兄弟姉妹)であるMさんのみなのです。
結果
今回は、Mさんのみが取得する手続きを済ませました。
なお、小規模企業共済については民法の一般原則とは違っていることについて、東京地方裁判所の判決があります。
平成23年10月17日東京地方裁判所判決において、こう述べられています。
「小規模企業共済法に基づく契約において、共済金支払請求権は、民法の一般原理より相続人が承継するというものではなく、直接遺族に生じる請求権である」
また、受け取った共済金に関してはみなし相続財産として課税されるため、相続税法上は(500万円×法定相続人の数)だけ課税されないことになります。
こう考えると、小規を模企業共済は加入後に毎年掛金全額が小規模企業共済控除により所得控除を受けられるというメリットだけでなく、受給する際にも節税の効果があり、また、生命保険金のように相続税の納税資金として利用することも可能なのですね。
ただし気をつけないといけないのは、小規模企業共済で掛けたお金は、掛けた人が死亡したときに受給権者がいない場合は共済金を受け取れなくなることと、遺言で特定の人に相続させることができないものであるということです。
ご参考になさってください。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。