相続の備えとして農地法3条許可申請サポート(O県K市)
ご依頼の状況
B様(53歳)はO県K市にお住まいです。
このたび、O県K市にお住まいの親戚のA様(B様の叔父・80歳)が、ご自身が所有する農地をいまのうちにどうにかしたいと思っているらしく、B様がそれを譲り受けたいが、その手続きをどうしたらいいか相談したいとのことで当センターにこられました。
※以下、個人情報保護のため、設定を一部変更しております。
相談内容
・A様は奥様と二人暮らし。奥様と二人で自宅近くの農地を耕してきたが、最近は腰を痛めて耕作不能になった。B様に手伝ってもらってなんとか耕作しているが、自分に万一のことがあったらこの農地はどうなるのか気になっている。
・A様はいままで耕作してきた農地に愛着があり、できれば引き続き誰かに耕作してもらいたい。自分が生きているうちに誰かに譲りたい。
・B様はA様のこの思いを聞き、自分がその農地を譲り受けることを提案した。A様はB様の申出に喜んだ。もともとB様へ譲りたいと思っていたが、B様の負担になってはいけないと気を遣っていた。
・以上のようにA様とB様とは農地の譲り渡しに合意しているので、今後どのような手続きが必要なのか教えていただきたい、そして手続きはすべて任せたい
これらの内容を確認したのちに、大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)はどのようにサポートをしたのでしょうか。
サポート結果
サポート①
農地の所有権を移転するには、まずは農地法3条許可が必要であることを説明し、申請先であるO県K市の「農業委員会」にA様からB様への所有権移転が可能かどうかを調査しました。
農地法3条とは?
農地法3条には次のようになっています。※わかりやすく言葉を変換しています
○農地や採草放牧地について権利を設定・移転(売買、貸借等)する場合、あらかじめ市町村農業委員会の許可が必要です。 住所のある市町村の区域内・区域外にある農地等の権利取得の許可権者は各市町村農業委員会となっています。 なお、相続や遺産分割、時効取得等により農地の権利を取得する場合、農地法の許可は不要ですが、農業委員会への届出が必要です。
そこで今回はA様からB様へ農地の所有権を移転するのですが、ここでポイントなのは移転の原因を「売買」か「贈与」とするのか?
そして、あげる側・渡す側であるA様(譲渡人)が耕作ができないことを説明できるのかどうか、そして、もらう側であるB様(譲受人)が、耕作可能な人物なのかどうか という点です。
つまり、A様が高齢、疾病などを理由に耕作ができないから、耕作の経験があり、かつほかにすでに耕作地をもっていて、今回移転する農地を耕作する時間的・距離的な余裕があるかどうかがタイセツなのです。
今回、これらのポイントはクリアしておりましたので、農地がある市町村の農業委員会へ説明し、A様からB様への「贈与」を原因として所有権を移転する旨の許可申請の準備にとりかかりました。
農地の所有権移転の申請に必要な書類
なお、今回のA様からB様への農地の所有権移転には下記の書類が必要です。
農地のことを「申請地」とします。
・所定の申請書 ※市町村によって書式が違いますので、管轄の農業委員会に問い合わせなければなりません
・申請地の登記事項証明書
・譲渡人の印鑑登録証明書
・申請地及び付近の地番を表示する図面(地籍図)※法務局でとれる「公図」のことです。
・申請地の位置図(1/10,000程度)※グーグルの地図を印刷したものでもOKです。
・譲受人の世帯員全員の住民票謄本 ※農地を譲り受けるB様が家族みんなで耕作できるのかどうかなどチェックされます。
・戸籍謄本※A様とB様とが親戚の場合はこの書類も必要な場合があります。
・譲受人の耕作証明書※必要な場合は、B様がほかに耕作をしていることを述べた上申書を作成します
・譲受人の現在の耕作状況一覧※B様がほかに耕作している土地の資料をつけます
・譲受人の住所地から申請地への経路図(縮尺を明示したもの)※B様が本当に耕作できるのか、チェックされます。
①の許可申請書を農業委員会に提出してから1ヶ月程度待ちます。
この期間に、農業委員会の農業委員のかたがたがA様からB様へこの農地を名義変更しても農地は荒れないか、つまり日本の農業を守れるのか?という視点で議論され、委員会でOKを出してもらうことになります。
1ヶ月後、無事①の許可がおりましたので、その許可書を受け取り、当センターの協力先司法書士により贈与の登記手続きをしました。無事B様の名義になりました。
なぜこの手続きが相続の対策・備えになるのか
ところでこれがなぜ相続の対策・備えになるのかについてですが、A様に万一のことがあった場合には奥様とA様の兄弟姉妹とで遺産分割協議をおこない、この農地を誰が取得するか決めるのですが、相続人になる人はだれも耕作できそうになく、A様としては愛着のある農地がどうなるのか不安だったので、遺言で誰かにあげるか、いまのうちにB様にもらってもらうか考えた末、自分が体調を壊した今こそ渡す時期だと考えたのです。
これも相続への備えになると思います。
A様は大切な農地を、信頼できるB様に譲ることができほっとした様子でした。
※なお、農地法許可については農業委員会により必要な書類が異なります。かならず事前に行政書士に相談しましょう。
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この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。