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法務局で相続を相談するデメリット

法務局での相続手続相談

親や配偶者など親族が亡くなり不動産を持っている場合には、不動産の相続手続きが必要となります。

昔は、このような場合は専門家に全てお願いすることがほとんどでした。

しかし最近、法務局で相続手続の相談をされる方が増えてきています。

最近はインターネットや書籍で様々な情報を所得しやすくなっていることもあり、また少しでも費用を抑えたいという理由から、専門家に依頼しないで法務局に相談しながらご自身で相続手続申請する方が増えてきているようです。

確かに苦労はしますがご自身でも相続の手続をすることは可能です。

しかし一般の方が行おうとした場合には、相応の勉強や専門的な知識が必要になりますし、いろんな役所に何度も行ったり来たりすることは覚悟しなければなりません。

また、次のようなデメリットがあり、多大な時間と手間がかかります。

◆ 戸籍の収集・相続人確定作業がスムーズにいかない

不動産の相続手続きをするためには、その前提として相続人を確定する必要があります。

相続人を確定するためには、まず、被相続人(亡くなった人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍を取り寄せて相続人が誰であるかを確定した上で、各相続人の戸籍も取り寄せなければなりません。

ここで、戸籍の収集や相続人確定に、大変な労力がかかってしまうことがあります。

◆ 相続人の確定が困難なことがある

想定していた相続人以外の相続人が出てきて、作業が難航してしまうことがあります。 たとえば、初婚だと思っていた被相続人が実は再婚で、前の配偶者との間に子がいたということになれば、その子も相続人になります。

この場合には、その子の戸籍も追っていかなければなりません。

また、被相続人の兄弟姉妹が相続人になるケースでは、被相続人の父親が結婚前に別の女性との間に子どもを設けていたなど、被相続人自身も知らなかった兄弟姉妹が出てくることもあります。

このような場合に備えて、被相続人の親の結婚前の戸籍まで調べなければなりません。 相続人の確定作業には専門的な知識も必要です。

古い戸籍までたどっていくことになると、読み取るだけでも大変ですから、慣れていなければ難しいこともあります。

◆ 遺産分割協議の際に問題が生じることがある

不動産の相続手続きの前提として遺産分割協議が必要になる場合必ず相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。

遺産分割の際には以下のような問題が起こることが多く、この場合には専門家に相談しなければ手続きが難しくなってしまいます。

① 相続人の中に連絡先がわからない人がいる

相続人の中に、疎遠になっていて何年も連絡が途絶えている人がいることはよくあると思います。

全く面識がない相続人がいるケースも珍しくありません。遺産分割協議を行うために連絡をとろうにも、連絡をとる方法がわからないということもあります。

② 遺産分割協議に参加できない相続人がいる

相続人の中に未成年者とその親権者がいる場合には、家庭裁判所に申し立て、未成年者のために特別代理人を選任してもらわなければなりません。

また、相続人の中に認知症で判断能力を欠いている人がいれば、成年後見人を選任する必要もあります。もし相続人の中に行方不明者がいれば、不在者財産管理人を選任する必要が出てきます。

※ 遺産分割協議がまとまらなければ調停や審判もあり得る

遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判を申し立てなければなりません。

そうなると、自分で裁判所に出向かなければならないといった手間も発生してしまいます。

◆ 先代の不動産の相続手続きがされていない

自分の父親が亡くなったので不動産の相続手続きをしようと思ったら、その不動産の名義が祖父のままになっていたなど、前の代の不動産の相続手続きがなされていないことがあります。

この場合には、祖父の代の相続人を確認するところから始めなければ不動産の相続手続きができませんから、簡単に手続きができません。

◆ 不動産に他人の権利が付いている

相続の目的となる不動産に、抵当権や地上権、賃借権などの他人の権利が付いていれば、単に不動産の相続手続きをすれば良いだけの問題ではないことがあります。

せっかく不動産を相続しても、その不動産に他人の権利が付いていれば簡単に売却することもできませんし、不動産を担保に銀行からお金を借りるのも難しくなってしまいます。 このような場合には、相続手続きをする際に、他人の権利を抹消するなどの手続きを同時に行っておいた方が安心です。

そのまま相続手続を進めてしまえば、後で不都合が生じることがありますから、事前に専門家に相談するのが安心です。

◆ 相続手続の申請書の作成には専門的な知識が必要

相続手続申請の際には、法律に定められたルールに則って相続手続の申請書を作成し、必要書類を添付して法務局に提出しなければなりません。

専門的な知識がなければ、相続手続の申請書の作成が困難なことがあります。

たとえば、不動産の相続手続きの際の添付書類は、どんなケースでも同じというわけではありません。法定相続分どおりに相続した場合、遺言書がある場合、遺産分割協議書によって相続した場合など、それぞれのパターンで添付書類は変わってきます。

相続手続の申請に慣れていなければ、きちんと揃えたつもりでも、必要書類が漏れていることがあります。そうなると、すんなり不動産の相続手続きができず、手続きが遅れてしまう可能性があります。

◆ 自分で法務局に何度も出向かなければならない

法務局の窓口は平日の昼間しかやっていませんから、仕事をしている人はなかなか出向く時間がとれないことがあります。

なんとか時間を作って窓口に持ち込んでも、もし書類に不備があれば再度出向かなければならなくなってしまいます。

郵送での申請もできますが、必要書類が漏れていたり、補正が必要になったりすることもありますから、なかなかスムーズにいかないことがあります。

 上記のように、不動産の相続手続きを個人でやると、手間や時間ばかりがかかってしまい、うまくいかないことがあります。

不動産の相続手続きを専門家に依頼すれば、戸籍謄本など必要書類の収集から遺産分割協議書の作成まで全て任せることができます。

専門家が入ることで、煩わしい手続きをしなくてすむだけでなく、安心かつスピーディーに相続手続きを完了させることができます。

まとめ ~法律専門家の存在意義~

法務局も昔に比べてかなり親切になりましたから、事細かく教えてくれます。

しかし、法務局の相談員が丁寧すぎて、法律上の判断をしてしまうことがでてきました。法務局は法律家とは違います。

あくまで手続きや必要書類の説明は問題ありませんが、例えば「誰が相続することになるからこのように分けたらよいのでは」などは判断できません。あくまで不動産の相続に関する手続きの説明しかできないはずです。

自分で不動産の相続手続きの準備をしてみることはもちろん意義のあることですが、複雑な不動産の相続手続きを自分で済ませようとすると途中で投げ出すことや思わぬトラブルにもなってしまい、結局は時間と費用を無駄にしてしまう可能性があります。

大切な時間とお金を無駄にしないためにも、不動産の相続手続きは専門家にお任せください。

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この記事を監修した行政書士

P.I.P総合事務所 行政書士事務所

代表

横田 尚三

保有資格

行政書士

専門分野

「相続」、「遺言」、「成年後見」

経歴

P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。


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