区役所で相続を相談するデメリット
昔は、親や配偶者など親族が亡くなったときには、専門家に全てお願いすることがほとんどでした。
一方で、最近は区役所で相続の相談をされる方が増えてきています。
自治体も各専門家の方に依頼して、相続の問題の相談窓口を設置するようになりました。このような相談窓口は、公共の場所にあり、手軽に相談できそうで、行きやすい相談場所ではあります。
しかも、司法書士等の一般には馴染みの薄い専門家を知るという機会としては非常にうってつけだと思います。
しかしその反面、私も相談員としてご相談を受ける立場から考えたときに、いくつかの注意点がありますので、それらを考慮した上で利用する必要があります。
1.時間制限と回数制限があるため、相続の相談をお受けしても満足に回答できない
区役所での相続の相談は、時間制限があります。
例えば、区役所での相談は予約制で30分の制限があります。また午後1時から午後5時。つまり、区役所での相続相談では、時間制限上事前に話を整理しておかないと時間切れがすぐに来てしまいます。
参考:https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000385776.html
相談内容を吟味していざ答えようとすると、役所の職員の方が出てきて時間切れを告げられます。せっかくよい方法があるのに、と思いながらそのすべてを伝えきるのは至難の業です。
さらに、区役所の相続の相談は、同一案件の相談は一回きりの場合がありますし、そうでない場合でも、担当の専門家が相談の都度変わるため、いずれにせよ継続的な相談ができないというデメリットもあります。同じ案件を再度一から伝えなければならないし、相談員によって意見が異なっており、混乱が生じることもあるでしょう。しかも、自分の案件になるかも分からないことに親身になってくれる専門家は多くないでしょう。
したがって、適切な解決方法を一度持ち帰って検討させていただくということが難しいため、区役所に相続の相談に来られている方の視点からも、相続の専門家側の視点からも、区役所の相続の相談では歯がゆい思いを抱えてしまうかもしれません。
2.時間が短く、一般的な解決方法の提案に終始してしまう
1つ前の項目と関連するのですが、しっかりまとめて話せても、区役所の相続の相談ではどうしても一般的な解決方法の提案に終始してしまう可能性が高いです。
区役所の相続の相談では、ご相談者様の話が聞けても、事前に事件の資料等が確認できないことや、その場で初めて聞く内容であれば突っ込んだ内容まで話を聞くのが難しいということが言えるでしょう。
また、専門家の事務所であれば、すぐに類似の解決事例を調べられたり、ほかの専門家とも連携をとることが可能だったりしますが、区役所での相続の相談ではそのようにすることが難しい場合が多いです。また、相談時間が少ない状態で踏み込んだことをお話しすることは責任問題になりますので、なかなか困難なのが現状です。
この点は区役所に来た相談者の方にとってみると、消化不良になる可能性があります。
また、区役所で相続の相談をお受けした相続の専門家からしてみても、具体的な解決方法の提示ができないことは、非常に残念なところとなります。
3.その場で専門家にお願いすることができない
区役所の相続の相談に来ていただき、実際に「不動産の相続手続きをお願いしたい」「相続の手続をすべてお任せしたい」とその場で考え、依頼いただこうとしても、必要な資料などがそろっていない場合が多い点や実際に具体的にどのようなサポートをさせていただくことが可能か提案するのが難しい点があり、その場でご依頼をお受けするのが非常に難しいです。
区役所の相続の相談で相談してくださった専門家の連絡先を後で調べて、改めて相続の相談を専門家の事務所まで行って実施する必要があるため、2度手間となってしまいます。
その後、実際に動かれる方はそこまで多くないと思います。上記のような手間もあり、疲れてしまうのでしょう。そのままお蔵入りになってしまうことも少なくないと思われます。
しかし、そうやってお蔵入りになってしまったことが後になってより大変な事態を引き起こすのです。病気は放っておくとどんどん身体を蝕んでいくのと同じです。もっと時間と労力がかかり、それに伴ってお金もよりかかってしまうことになります。
まとめ ~専門家に直接ご相談いただく意義~
区役所での相続のご相談は、公共の場所にあり、手軽に相談できそうで、行きやすい相談場所ではあります。
しかし、上記のようなデメリットがあり、なかなか思うように相続の相談をしていただき、解決に結びつけるに至っている事例はほとんどお見かけしたことがありません。
専門家、特に士業の事務所に直接問い合わせして、相続の相談をしに行く、ということは、気が重いという気持ちもわからなくはないですが、より具体的にお話をお伺いし、より具体的に解決策を提案させていただき、その場で解決策を実行できる、という点では、非常にメリットが大きいといえます。
当事務所では、明るい雰囲気でのご相談ができ、入りやすい事務所にできるよう心がけております。まずは、お電話または本ウェブサイトの問い合わせフォームより、お気軽に相続の相談のお申し込みをしていただければと思います。お待ちしております。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。