【専門家が解説】遺言の種類と書き方について
遺言とは
遺言とは、遺言者(亡くなった方)の最後の思いを表したものです。
よって、遺言書に自分の財産についての最後の思いを書き記すことは、当然のこととなります。
また、財産に関する事柄以外も、自由に遺言に書き記すことができます。
しかし、書き記した事柄が全て法的な効力を持つわけではなく、法的な効力をもたらすことができる事項は法律で決まっています。
遺言は、それぞれ遺言の種類によって法律で厳格に書き方や作成方法が定められています。
せっかく書いた遺言書も、書き方や作成方法に不備があるために、無効になることがあります。
自筆証書遺言と公正証書遺言の書き方についての説明をいたしますが、きちんとした遺言書を作成したいのであれば、一度司法書士などの専門家にご相談することをお勧めします。
遺言の種類
遺言の種類には、普通方式の遺言と、緊急時等の場合を想定した特別方式の遺言があります。
1.普通方式
普通方式には、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
2.特別方式
特別方式の遺言は、差し迫った指揮を目前とした状況で作成されることを前提とする、特別な遺言の方式です。そのために、遺言者が普通の方式で遺言を行う事ができるようになってから6ヵ月間生存した場合には、特別方式の遺言は効力を失います。
遺言の書き方とポイント
自筆証書遺言作成のポイント
(1) 全文を自筆で書くこと。
(2) 縦書き、横書きは自由で、用紙の制限はありません。
筆記具もボールペン、万年筆など何を使用しても構いません。(録音や映像は無効です。)ただし、鉛筆や消せるボールペンは時間の経過とともに消えてしまう可能性や変造のリスクも高いので避けましょう。
(3) 日付、氏名も自筆で記入すること。
(4) 捺印をすること。認印や拇印でも構いませんが、実印が好ましいです。
(5) 加除訂正する時は、訂正個所を明確にし、その個所に捺印の上署名すること。
公正証書遺言作成のポイント
(1) 証人2人以上の立会いのもとで、公証役場へ出向くこと。
(2) 遺言者が遺言の内容を公証人に口述すること。
(聴覚・言語機能障害者は、手話通訳による申述、または筆談により口述に代えることができます。)
(3) 公証人がその口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させること。
(4) 遺言者および証人が筆記の正確なことを承認したうえで、各自が署名捺印すること。
(5) 公証人がその証書を法律に定める手続きに従って作成されたものである旨を付記して、
これに署名捺印すること。
証人・立会人の欠格者について
遺言執行者は証人になることが認められていますが、未成年者、推定相続人、受遺者及びその配偶者、及び直系血族は証人にはなれません。
また、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人も同様に証人にはなれません。
家族へのメッセージ
法律的に意味のある遺言事項は、法律で決められています。
もちろんそれ以外のこと(「付言事項」と言います)を書いてはいけないというわけではありません。
付言事項は法的には効力を一切持ちませんが、家族への心のメッセージとして書き記すことは、大変意味のあることです。特に、このような遺産配分となった理由や思いなどを付言事項として残しておくことは、遺言の効力を高めるためにも有効な手段となります。
まとめ
相続トラブルを回避するためにも遺言は書いておくことをお勧めします。
相続財産はたとえわずかであってもいざ相続となると争いになるケースも少なくないからです。
「遺言は財産が多い人が書くものだ」
「遺言を書かなくても相続人が何とかやってくれる」
と考えている人もぜひこの機会に遺言を書いて、相続人同士のトラブル防止や、自身の意思を実現させる準備をしておきましょう。
当事務所では遺言書作成サポートを行っております
今回は遺言の書き方について解説しました。
ただ、遺言を書く重要性を理解していても、具体的に「何について」「どう遺言を書けばいいか」わからないと思う方も多いのではないでしょうか。
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この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。