遺言に書けるけれども法的な効力はないこと
こんにちは、大阪相続遺言相談センターです。 今日は遺言のお話です。
遺言の相談をお受けしていて、よく「こんなことは遺言に書けるのか、効力があるのか、それとも書けないのか」と相談を受けます。
今回はちょっとブレイク、 「遺言に書けるけれども法的な効力はないこと」についてお伝えします。
「遺言書」を残したい人にとっては、「遺言書」は自分の死後に家族が読む生前のメッセージですので、いろいろと書きたいと思われるのではないでしょうか。
遺言に何を書くかは自由なのですが、仮に書いたとしても、「法的拘束力がない」ことがあります。つまり、「家族へのメッセージ」にはなりますが、その内容を実行するかどうかは、お願いされた家族の判断に任されることになり、法律上それを実現しなければならない義務はないことです。
それはいったいどのような内容でしょうか。
今までに遺言の書き方相談を受けた内容では、下記のような例が挙げられます。
① みんな仲良く暮らしてほしい。
② 残された奥さんを子供たちで協力して大切に面倒をみてほしい。
③ 自分の家を相続した人は相続した後は一生その家に住んで、他へは売るな。
④ 愛するペットの面倒を看てほしい。
⑤ 愛するペットに全財産をあげたい。
⑥ 自分が死んだら臓器提供したい。
⑦ 遺体は検体してほしい
⑧ 自分が死んだら○○と○○は離婚しなさい
⑨ 自分が死んだら長男ではなく次男が跡取りになりなさい。
⑩ 自分が死んだら、自分の借金は○○が支払いなさい。
これらは、遺言に書いてもいいですが、法的効力がありません。
他にも、先日とある取引のある葬儀社の担当者から問い合わせがありました。
『自分が死んだら○○を自分の養子にする』と遺言書に書けば、生きている間にはいろいろな事情があってできないけれども自分が死んだらできますか?
これもできません。養子縁組は養父母も養子も生きている間にしかできないのです。自分が死んだら跡取りが居なくなるから、死んだら○○が養子になってくれればいいと思ってのことですが、残念ながらできないのです。
皆様は、法的効力がないとしても、自分が死んだら家族に残したい伝えたいメッセージはありませんか?
そこで提案なのですが、そういった想いを「エンディングノート」で残してはいかがでしょうか。「エンディングノート」では、「遺言書」という法律上の形式にとらわれずに想いのまま書けますし、自分の思いをそのままの自分の言葉で伝えられます。
「遺言書」を書く側も、残された方に、「ありがとう」という感謝の気持ちを自分の言葉で伝えたいと思われるのでしたら、法律的なことは「遺言書」として、そして想いはそのまま「エンディングノート」として、両方ともを作成する方法はいかがでしょうか。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。