現在空家の所有者は10年前に他界。そこに住み続けていた長男。転勤になったので売りたいなあ。このままで売れる?
目次
第6話~空家のままにしておいたら何が問題なの?や固定資産税はどうなるの?~
大阪相続遺言相談センターです。
第5話では、遺産分割協議のため、Aさんが親戚に聞くなどしてEさんの所在を突き止めてからセンターの相談員へ連絡をすることになってましたね。あれから1カ月ほどしてAさんからセンターに連絡がありました。
その電話で、Aさんは以下の2点についてお話してくださいました。
<相続専門相談員のサポート~空家の相続で知っておきたいことをお伝えする>
まず1点目はEさんの住んでいるとことがわかり、Bさんにも遺産分割のことが話せたということです。
Aさんは、「Eさんの住んでいるところは親戚筋を頼って、ようやくわかりました。Eさんに、遺産分割のことを伝えるために手紙を書いて送りました。その返事を待っているところですので、もうしばらく時間ください。
弟Bは、この物件の土地建物の名義を私だけのものにすることは快諾してもらえました。」とおっしゃいました。
2点目は、Bさんにこの話をしたときに不動産の売り方についてこう言われたとのことでした。
「兄さん、転勤してもうこの家には住んでないんだよね?空き家になってしまっているんだよね?兄さんの名義にしてから売るのはいいけど、家はほっておくと傷むし、早めに売りに出した方がいいよ。古い家だから建物付きで買ってくれない場合は先に取り壊してしまって更地にしてから売ったらどうかと思ってたんだけど、土地を更地にすると固定資産税が3倍くらいになるらしいよ。だからもし取り壊して売れなかったら、高い固定資産税を兄さんが払うことになるし、更地にしないで売りにだして、売れたら売るというのでどうだい?安くでしか売れないんだったら無理することないよ。兄さんは仕事を持っているし生活には困っていないだろ?高く買ってくれる相手が出てくるのを待ったらどうかな。」
つまり、空き家を取り壊してしまうと土地の固定資産税が上がるから、建物はそのまま空き家のままにしておいても支障がないだろうからそうしたらどうかとのことでした。
私たちはこれに対して、次のようにアドバイスしました。
① 空家のままにしておくと、税金がやすくならない可能性があります。最近は放置空き家の問題が増えてきて、
「空き家対策特別措置法」の施行により「特定空き家」に指定された場合、建物が建っている土地の固定資産税が安くなる措置がなくなることになりました。
(参照:国土交通省ホームページ 空き家対策特別措置法http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html)
➁それに空家にしておくと傷み、外部不経済というリスクも大きいのです。
(参照:国土交通省ホームページ 外部不経済についてhttp://www.mlit.go.jp/common/000042301.pdf)
空家は近隣へ様々な被害を及ぼす可能性をはらんでいます。
③さらに、相続開始後約3年以内に空家を売却すれば、譲渡所得税でも特例を受けることができる場合がありますよ。
(参照:国土交通省ホームページ 空き家の発生を抑制するための特例措置についてhttp://www.mlit.go.jp/common/001127709.pdf)
空き家にしておくことは、メリットがなくなってきています。
Aさんは、初めて知ったことばかりだったようで、「また自分でも調べてみます。知らないことばかりでした。」と、喜んで帰られました。
今回のように相続したけれども空家になってしまう物件は、ぜひすぐに専門家に相談してください。
続きは次回です。お楽しみに。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。