空家の所有者は10年前に他界。そこに住み続けている長男。転勤になったので売りたいなあ。このままで売れる?
第12話~空き家を売りに出すときの困難な事情。接道義務とは?
大阪相続遺言相談センターです。
第11話で、空家を売りに出すにあたり、空き家を専門的に扱う不動産業者に売却を頼むのがいいということで、Aさんは業者に相談に行ったとお伝えしましたね。
その業者は空き家の現地調査に行ってきたあとで、その調査結果を伝えるべくAさんに連絡がありました。
すると意外な答えが!?
<相続専門相談員のサポート~空き家が売れにくいのは?>
Aさんは不動産業者からの連絡を聞いて、愕然としました。
この空き家を現状のまま売りに出した場合、売れても200万円ほどだと査定結果を伝えられたからです。
Aさんが昔、祖父から聞いたところによると、この土地購入費用と建物建築費用とで合わせて3000万円ほどかかったとのこと。
それなのに、なぜたった200万円ほどでしか売れないのか!?とても納得がいかない様子です。
センターではこのように相続したが空き家である物件の売却について相談を受けることが多いのですが、空き家が売れない理由、もしくは売れても安くなってしまう理由にはいくつかあります。
ひとつは「空き家の敷地が接道義務を満たしていないため」という理由です。
これによりAさんの物件は200万円という売買価格の提示になっていまいました。
「接道義務」とは、都市計画区域の建物の敷地は4メートル以上の幅の道路に2メートル以上は接していなければならないという建築基準法第4により課せられた義務です。
この義務を果たしていない不動産は、ほとんどが再建築不可の土地となってしまいます。つまり、空き家が老朽化していにも関わらず、それを取り壊して新たに建物を建てることができない土地であるため、土地が売れない、もしくは安くでしか買ってもらえないのです。
場合によっては、私道を設けるなどして接道義務を果たして売るという方法もありますが、どの土地でもそれが可能というわけではありませんし、費用と時間がかかるのです。
Aさんは、予想外の価格にとてもショックを受けたのですが、だからといってこの物件を持ち続けることもできないので、空き家専門業者へ売り出しをまかせることになりました。
さあ、無事に売れるのでしょうか?
このような空き家の相続と売買の相談は非常にも多く、空き家の実情と利活用に詳しい不動産業者も複数知っております。空き家の相続についてもぜひ相談くださいね。
次回をお楽しみに。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。