民法(相続法)改正(2018年7月6日成立、同年7月13日公布)について③ ~自分で書く遺言書が楽になった?!~
大阪相続遺言相談センターです。
前々回、前回の「民法(相続法)改正」(2018年7月6日成立について)の続きです。改正点を大きく分けて9つ挙げました。この改正点は法務省のホームページに掲載されています。
(www.moj.go.jp/MINJI/minji07_0021299999.html法務省ホームページ「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」より)
この9点は法律用語だけを読むとすぐにわかりにくいと思います。
そこで、これから連載で、わかりやすく。また相続の専門家としてのホンネもつぶやきながらお伝えしますね。
このホンネはあくまで大阪相続遺言相談センターのスタッフの個人的なホンネです(笑)。なるほどね~、いやいやおかしいだろ?!と突っ込みいれながらお読みくださいませ。
<改正された点①>
この民法改正で変わることの1点目は「①自筆証書遺言書(自分で書く遺言書)の方式が緩和されること」です。(以前のスタッフ日記をご覧くださいませ)
この規定は2019年(平成31年)1月13日にすでに施行されました。施行ホヤホヤで、新民法968条2項と3項で規定されました。
※参考
第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければその効力を生じない。
いままでの法律では、自分で書く遺言書は全文を自筆しなければなりませんでした。
遺言書には自分の財産目録をできるだけ詳細に記す必要があり、高齢の人にとっては全文を自分で書くなどは負担が大きかったのです。
改正後は、遺言書の本文(だれに何を渡すのか)は自筆で書き、従来通り日付、氏名を書き、印を押し、別紙にパソコンなどで印刷した財産目録や通帳のコピーを添付することができるようになりました。添付する財産目録には遺言者(遺言を書いたひと)の署名と押印が必要なので、偽造を防止できます。
<大阪相続遺言相談センタースタッフのつぶやき>
全部を自筆で書くのは確かに大変です。
「私の全部の財産を一人にあげちゃう」という遺言でしたら、財産の目録はいらないかもしれません。昔は長子相続が多かったので、長男に全財産ということもあり、全文を自分で書くくらいなんとかなるという法律だったんですね。
ところが最近では不動産は妻、預貯金は長男、株は次男、ほかもろもろ。。。。というように遺言をのこすひとの気持ちは細かくなっています。
また相続税改正により相続税がかかる人が増えたことから、財産ごとに取得者を分ける方がいいケースが多いですし、財産目録を残しておいてくれた方が、実際に遺言の内容とおりに実行する(遺言執行といいます)段階でどんな財産が有るのかわかりやすいというメリットもあります。
また、古い民法ができた時代と違うのは、パソコンなどの電子機器(この言い方が古い?!)の普及です。
ワープロからパソコンへ時代が変化し、高齢のかたでもパソコンを使う時代です。この時代に即して、なおかつわかりやすい遺言書で、遺言を残す人を増やし遺言執行のときの手間を軽減するために良い改正です。
ところで、財産目録を作成するサポートも大阪相続遺言相談センターではご相談をお受けしています。そもそも財産目録の書き方からわからんというかた、
ぜひとも無料相談を(^▽^)/
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。