民法(相続法)改正(2018年7月6日成立)について12 ~ 相続登記をせずにほったらかしするとダメになった?!債権を相続した場合にも通知しないといけなくなった?!~
大阪相続遺言相談センターです。
このシリーズでは、2019年から2020年にかけておこなわれる相続にまつわる民法改正や新制度創設について順に説明しています。(これまでのスタッフ日記をご覧ください)
今回は、8つ目の「相続の効力等に関する見直し」についてお伝えします。
「〇〇に相続させる」という遺言がある場合、今までは登記を急ぐ必要がありませんでした。それが変わりました。一体どうかわったのでしょうか。
<改正された点⑧>
この民法改正で変わることの8点目は、法律上の相続分を超えて相続した分については、登記などをしておかないと、第三者に対抗できなくなりました。
そして、預金や貸付金などの債権を相続した人は、自分が相続したんだということを相手に通知しないかぎり、第三者に対抗できなくなりました。
つまり、主張できなくなりました。
例をあげてみてみましょう。
Aさんが令和元年7月1日に死亡しました。
法定相続分はCさん2分の1 Dさん2分の1です。
Aさん死亡時にはAさん名義で2,000万円の 価値のビル(不動産)がありました。
Eさんは生前のAさんに1,000万円貸していた、つまり「相続債権者」です。
EさんはDさんの法定相続分を差し押さえたらいいのでと安心していました。
しかしながら実は、AさんはこのビルをCさんに相続させる遺言を残していたのです。
いままでは、このときは、法定相続分を超える遺言のほうが、登記をしなくても優先されていたので差し押さえられても知らんふりしてCさんは2,000万円分取得できていた。
Cさんは登記しなくても優先されますし、登記したらEさんが差し押さえてくるので、何もせず放っておけたのです。
Eさんは泣き寝入りしていました。
改正法により、遺言で法定相続分を超える部分を取得した場合は登記しておかなければ 債権者や第三者に対抗できない、つまり主張できなくなったのです。
つまり、Cさんが全部を自分が取得できる遺言に基づく相続登記をしていない間に、EさんがDさんの法定相続分に差し押さえをしたらEさんのほうが優先されることになったのです。
遺言による相続登記は早めにしなければならないということですね。
それから、死んだ被相続人が生前誰かにお金を貸していて、その貸していたという権利、つまり債権を相続した人についても、自分が相続したのだから、これからは自分にお金を返してねと主張するためには、その相手に事前に通知をしておかなければならなくなったことも付け加えておきますね。
その通知は法律上の要件を備えたものでなければなりません。
みなさん、こういうケースに該当しそうな場合は、ご自身で放っておかずに、センターの無料相談にまずは電話を。
早くしないと大変になるかもしれません。専門家のサポートを受けましょう。
では次回は、法律改正により、被相続人を介護していた人にも遺産がもらえるかもしれなくなったことについてお伝えしますね。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。