民法(相続法)改正(2018年7月6日成立)について13 ~ 特別の療養介護をした親戚も相続分もらえるかもしれなくなった?!~前半
大阪相続遺言相談センターです。
このシリーズでは、2019年から2020年にかけておこなわれる相続にまつわる民法改正や新制度創設について順に説明しています。(これまでのスタッフ日記をご覧ください)
今回は、9つ目の「相続人以外の者の貢献を考慮するための特別寄与の制度創設」についてお伝えします。
必死で面倒をみてきた人が相続人ではなかった場合でも、相続分をもらえるかもしれなくなったこの制度、大きな改革ですね。
新民法1050条を新たに作りました。一体どんなものなのでしょうか。
<改正された点⑨>
この民法改正で変わることの9点目は、特別寄与者による特別寄与料の支払い請求権がみとめられるようになったことです。
民法では法律上相続人になれる人は決まっています。
死んだ人の面倒をみたひとが、相続人ではなかった場合、死んだ人つまり被相続人が遺言を残してくれていない限り、一円たりとも財産はもらえません。
例えば、相続人の妻(つまり被相続人の長男の嫁)が、夫の父である被相続人の療養看護につとめて、そのおかげで被相続人の財産を維持できたとしても、相続人の妻は相続人ではないので(※養子縁組を除く)「寄与分」の主張すらできません。
いまの法律で、相続人でない人が遺産から財産を受け取ることができる制度としては、「特別縁故者(とくべつえんこしゃ)」という制度があります。
しかし、これは被相続人に相続人がいない場合に限定されており、かつ、例えば内縁の妻や、事実上の子同然に生活していたなどの特別の場合にとる手続きです。
これでは面倒をみた相続人の嫁の貢献がこれまで評価されてることはありませんでした。
そこで改正法では、新民法1050条1項によると、被相続人に対して「無償で療養看護その他の労務の提供」をしたことにより被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした被相続人の「親族(特別寄与者という)」に「特別寄与料」の支払い請求権を認めることになりました。
長男のお嫁さんや、相続人とはならない相続次順位の兄弟姉妹などの親族が、被相続人のために必死で貢献してきたことが、お金で評価されるようになったんですね。
では、「無償で療養看護その他の労務の提供」とはどんな行為なのでしょうか?
「親族」とはどこまでの範囲なのでしょうか?
「特別寄与料」とはいったいいくらくらいなのでしょうか?
この疑問について、今わかっている範囲ですが、次回述べますね。お楽しみに。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。