民法(相続法)改正(2018年7月6日成立)について14 ~ 特別の療養介護をした親戚も相続分もらえるかもしれなくなった?!後半~
大阪相続遺言相談センターです。
このシリーズでは、2019年から2020年にかけておこなわれる相続にまつわる民法改正や新制度創設について順に説明しています。(これまでのスタッフ日記をご覧ください)
今回は、9つ目の「相続人以外の者の貢献を考慮するための特別寄与の制度創設」について述べました前回の続きをお伝えします。
必死で面倒をみてきた人が相続人ではなかった場合でも、相続分をもらえるかもしれなくなったこの制度、大きな改革ですが、いったい誰がどういうときにいくらもらえるのか?気になりますね。
令和元年7月から施行される制度です。
<改正された点⑨>
この民法改正で変わることの9点目は、特別寄与者による特別寄与料の支払い請求権がみとめられるようになったことですが新民法1050条1項によると、被相続人に対して「無償で療養看護その他の労務の提供」をしたことにより被相続人の財産の維持または増加について「特別の寄与」をした被相続人の「親族(特別寄与者という)」に「特別寄与料」の支払い請求権を認めることになったとあります。
では、「無償で療養看護その他の労務の提供」とはどんな行為なのでしょうか?
「親族」とはどこまでの範囲なのでしょうか?
「特別寄与料」とはいったいいくらくらいなのでしょうか?
「無償で療養看護その他の労務の提供」について「特別の寄与」とは?
いわゆる「寄与分」と同じくらいの貢献度合いでなければならず、その対価が無償でなければなりません。
ちょっと面倒をみたくらいではだめで、被相続人の事業が大きくなるために無料で働き続けた、被相続人の療養看護を無償で続けて医療費や介護費用の支出を大幅に抑えた、被相続人を特別に長期間扶養しつづけたなどの、普通ではできそうにないくらいの貢献を言います。
「特別寄与者になれる親族の範囲」は?
被相続人の6親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族までをいいます。
どこまでをいうのか?あなたの6親等内の血族とは、、、、と置き換えてみましょう。
あなたの6親等内の血族とは、血縁関係のある父母、子、祖父母、兄弟姉妹、曾祖父母、叔父、叔母、甥姪、いとこ、祖父母の兄弟、曾祖父母の兄弟、またいとこ までを言います。血縁関係とは養子縁組も含みます。
あなたの三親等内の姻族とはあなたの配偶者の父母、子、祖父母、兄弟姉妹、曾祖父母、叔父、叔母、甥姪までをいいます。
よって、「長男の嫁」が被相続人の介護を特別に行った場合は、1親等姻族ですので、特別寄与者になる可能性がありますね。
「特別寄与料」とは?
療養介護の日当分の日数分や、労務提供の給与分くらいだといわれています。
そして、特別寄与料の請求は、特別寄与者が相続人らへ直接請求することになり、整わなければ家庭裁判所での処分も求められることができます。
特別寄与の制度ができましたが、親族に限りますので、内縁の妻、事実上の養子にはこの制度は使えませんので、このような家族をもつかたは、やはり遺言を残さなければならないことに注意してください。
これからこういう請求をする親族がふえるのか、増えないのか。。。。気になりますね。
自分の場合はどうだろうと悩む方は、専門家のサポートをうけて、きちんと手続きしましょう。
ぜひセンターの無料相談予約を利用してくださいね。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。