民法(相続法)改正(2018年7月6日成立)について15 ~ 結び☆相続法の大改正に想う。つれづれなるままに~~相続専門家のつぶやき~
大阪相続遺言相談センターです。
このシリーズでは、2019年から2020年にかけておこなわれる相続にまつわる民法改正や新制度創設について順に説明してまいりました。(これまでのスタッフ日記をご覧ください)
大きく9つの改正内容について、なるべく実例をあげて説明しましたが、運用はまだこれからですので、実務での運用基準はまだこれからです。
今回の改正は、
高齢社会の到来で大相続時代に公的機関が少しでもスムーズに対応できるようIT機器を使って遺言を残しやすくし、公証人の負担を減らすようにした。
珍しくなくなったシニア再婚数の増加や、戸籍にしばられず籍をいれずに幸せに暮らす事実婚を選択する夫婦の増加、子を持たないという選択肢をとる夫婦が増加するなど、家族の在り方の多様化に対応するために、遺言を身近なものにした。
高齢夫婦が増え、一方の死去により残された一方が安心して暮らせるよう居住権を明確にした。
などの場合には効果が図れそうですね。
しかしながら、具体的な運用としては課題もあると思われます。
居住権は内縁や事実婚、同性婚には認められませんし、特別寄与の制度なんて、どのようにしていくらまで請求できるのか、いまだ不安は残ります。
法律で認められたからといって並みいる親族を相手に、「私、被相続人の面倒みたのですから当然もらいます」などはたして言えるのかどうか。。。
また、今回の改正の、「20年以上の婚姻期間のある配偶者への贈与は遺産に持ち戻さなくてもいい」となった点ですが、これも内縁や事実婚には適用されません。
戸籍上夫婦でありさえすれば日本では相続での権利は依然として強いのです。
多様化した現代の家族のあり方を守っていくには、今回の改正だけではまだまだ不十分に思われる方がいらっしゃるではないでしょうか。
やはり、専門家に相談したうえで、遺言、信託などの手当ては欠かせません。
では次回以降はまた違うシリーズのスタッフ日記にいたします。
これからも末長くよろしくお願いいたします。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。