事実婚とお金のこと⑥~ 夫婦間の契約取消権(民法754条)のこと
大阪相続遺言相談センターです。
センターには一般的な相続のお手続きのご相談以外にも、家庭環境に応じた相続の対策や婚姻・離婚についての相談も多く寄せられます。大好評のこのシリーズでは、「事実婚・内縁と財産のこと」にスポットを当てて実例を織り交ぜながらお伝えしております。シリー6回目の今回からは、事実婚について知っておきたい知識についてお伝えしていきます。
<法律上の夫婦とちがうことがある>
法律上の夫婦には民法第754条が適用されます。これは「夫婦間の契約取消権」といい、
法律では、「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」とあります。
これってどういうこと?! 普通は、契約は詐欺や強迫でもないかぎり取り消すことはできません(もちろん未成年や認知症になっている方の場合は除きますよ)。
取り消したい場合は法的な手続きをおこなって争ったりしますよね。でもこの取り消しできるうんぬんを、夫婦間に適用してしまうと、
法律が家庭にはいることにもなりますし、夫婦間の問題は夫婦間で解決すべきという裁判所の考えがあり、この法律の条文があるのです。
夫婦間ではいつでも契約を取り消せるようにして夫婦間で解決してよということです。(しかし夫婦が破綻していれば取り消しできません。)
そしてこの規定は事実婚にはあてはめるのかどうか?気になりませんか?法律上の届出をしていないからといって、
取り消しできないとなると、「あ~やってしまったなあ」という後悔してしまう契約を夫婦間でしてしまったこともありますよね。
たとえば物をあげるというような贈与契約などです。
判例などではこの法律は事実婚には適用しないとなっているのです。つまり取り消ししたくてもできないじゃないか!ということになります。
ここは、法律上の婚姻と事実婚とでは取扱が違うところなので注意してください。
このようになっているのは、法律上の婚姻にくらべて保護が薄い配偶者を守るためだともいわれています。
いつでも取り消しできるとなると、相続権がない事実婚の配偶者の不安がさらに増すのです(相続権がない!?ということについては次回以降に詳しく)
では、事実婚の夫婦は婚姻後に贈与などの契約をするときは、どうしたらいいのか。もしできれば公正証書などの書面できちんと約束しておいてください。どのような書面を残したらいいのかなどは、ぜひとも大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)の司法書士、行政書士に相談くださいね。このような書面を作成するプロです。
次回は、まだまだある事実婚について知っておきたい知識のうち、「事実婚と相続権について」書きます。相続と遺言分野のプロである大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)にだからこそお伝えできることですね。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。