婚姻と相続と夫婦別姓について③~選択的夫婦別氏制度について世間はどう思っているのか?~
大阪相続遺言相談センターです。
センターには単純な相続のお手続きのご相談以外にも、家庭環境に応じた相続の対策や婚姻・離婚についての相談も多く寄せられます。
今回からのシリーズでは、「婚姻と夫婦別姓」にスポットを当てて実例を織り交ぜながらお伝えしております。
<夫婦別姓に対して世間の考えはどうなの?>
夫婦が婚姻後は別の姓(苗字のこと)を名乗れる制度については世間では「夫婦別姓」と呼んでいます。
これは法務省では「選択的夫婦別氏(べつうじ)制度」といい、民法改正などの検討を始めています。
法務省によると(引用:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html#Q2)、「選択的夫婦別氏制度」とは、「夫婦が望む場合には結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度」のことをいい、あくまで「夫婦が望む場合には」と但し書きをつけています。
つまり、「原則は夫婦は婚姻したら同じ姓を名乗る」「例外として夫婦が望む場合には、別の姓を名乗るのを選択できる」としているのです。
この制度を日本でも導入するのかどうかを検討し始めたのが平成3年(1991年)、法制審議会が改正案要綱を答申したのが平成8年(1991年)2月、そして平成8年と22年に改正案を準備したけれども国会へ提出できなかったまま現在にいたっています。
ところで、日本の法律ではまだ規定されていないこの制度、「世間はどう考えているのか」を調べてみました。法務省ホームページ(引用:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html)によると「家族と婚姻と名字(氏)について、婚姻したら夫婦が夫か妻の氏を名乗らなければならない現在の法律についてどのように考えるのか」について、次のように平成29年の世論調査の結果が記載されていました。以下、引用部分・・・・
平成29年に実施した「家族の法制に関する世論調査」の結果では、
- 「婚姻をする以上夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない」と答えた方の割合が3%、
- 「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」と答えた方の割合が5%、
- 「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが,婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては,かまわない」と答えた方の割合が4%となっています。
つまり、現在の法律を完全に支持している①は3割ほど、②の「選択的夫婦別氏制度」を支持しているのが4割強ほど、そして①と②の折衷案のような「通称使用OK」という案を支持している③が2割5分ほど なのです。
この3つの案について、みなさんはどれを支持されますか?この続きは次回のスタッフ日記へ。お楽しみに。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。