今年大きく動く!所有者不明土地問題について②~まずは現状をお伝えします
大阪相続遺言相談センターです。
大阪相続遺言相談センターです。
愛読者のみなさま、いかがお過ごしでしょうか。
春の足音がしつつも、コロナ禍で気持ちが晴れない春になってしまうのでしょうか。
ところで、前回からシリーズで「所有者不明土地問題」について連載を書いております。
第1回目の前回は、
「所有者不明土地問題」とはどのようなものなのか
平成30年6月6日成立 令和元年6月1日施行の
「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」というものがあることについて触れました。
今回は、「なぜ所有者不明土地ができてしまうのか、その原因と、この問題に関する事例」についてお伝えしますね。
<所有者不明土地が生まれる理由 統計ではなく実例から>
大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)は相続・遺言の専門事務所ですので、それに関して不動産関連の相談が多いです。
さまざまな相談をうけていて
「あ!これは所有者不明の土地・建物になるな!」と感じる出来事から、
所有者不明土地が生まれる実例をお伝えします。
※なお、上記の法律における「所有者不明土地」の定義から反れないことは確認済です。
実話です。。。。
① 相続放棄によりうまれることもある!
たとえばAさんが大阪市内に土地とその地上の建物とを所有しており、ずっと一人暮らしをしていた場合に、
Aさんのプラス財産はこの不動産のみで、預貯金はゼロ、
それどころか昔ギャンブルが趣味だったことから、
相続人にとっては、いつどこからどんな借金がでてくるかわからない、それにもうかかわりたくないと思った場合があったとします。
相続人らが全員、裁判所に相続放棄の申述をしたら、Aさんの遺産であるこの土地と建物は「相続人不存在」のものとなります。
所定の手続きで相続財産管理人の選任がなされないうちは、「所有者不明の土地」になるのです。
余談ですが、センターには「全員が相続放棄した場合、遺産の不動産については放棄した相続人にはなにも責任ないですよね?」と聞かれます。
いえ、責任は逃れられませんのでご注意くださいませ。
② 登記で所有者とされている人が行方不明の場合
法務局で土地の所有者を調べると、Bさんが住所とともに所有者欄に書かれてありました。
そのBさんは実際その住所には住んでおらず、かつ住民票を調べると転居していた模様。
転居先に行ってもBさんはおらず、どこに住んでいるのかわからない、
つまり行方不明の場合も「所有者不明土地」になります。
③ 所有者として登記に乗っている人がすでに大昔に亡くなり、相続登記がされぬまま今に至る場合
山奥の荒れた空き家とその底地を買い取りたいと思った隣地の人がいたとします。
その空き家と底地の所有者を調べると「C右衛門さん」の所有のようです。
住所やC右衛門さんが取得した日時をみると昭和一けた台でした。
その村の人々に聞き取りすると、C右衛門さんは昭和初期にすでに亡くなったとのこと。
その後、相続登記はされないまま、C右衛門さんの家族らは住み続けたが後継ぎがいなくて、C右衛門さんの子孫は途絶えたばかりだということが分かった。
これは聞き取りによるものなので、実際法律上はだれのものなのかを調べました。
C右衛門さんの現在の相続人は50名いることがわかりました。
これを相続登記するのは現実的ではないですよね。
こういう場合も「所有者不明土地」になります。
最後に
いかがでしょうか?
これらの事例はすべていままで大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)に相談があった内容ばかりです。
現実的に起きているのです。
そして、もともと所有者だったかたたちは
「この不動産を活用するのはいろいろと費用がかかり大変なので放っておきたい」
「跡取りがいない」
「相続でもめて、相続登記したいのにできなかったのを、放っておいたらこうなった」
とおっしゃっていました。
このようになってしまうのを、どうやって食い止めたらいいのでしょうか。
実はいま、「所有権の放棄」や「相続登記の義務化」について検討されています。
次回はこれらを解説していきますね。
お楽しみに。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。