土地や建物を寄付したいけれどできるんですか?というご質問がありました~後半~
大阪相続遺言相談センターです。
いつものワタシのスタッフ日記を読んでくださりありがとうございます。
夏休みはどうしようか?そもそも夏休みが取れるんだろうか?
オリンピック開催されて祝日が変わったことを最近知ってしまったため、もはやステイホームの夏休み、
そしてお客様の無料相談をお受けする仕事に邁進することを決意いたしました。
ところで前回のスタッフ日記では、
「相続した財産、いらんから国や市にもらってもらいたいので、その手続をしてほしい」というご相談に来られましたお客様に対して、
できるのかできないのか?を検討するために、法律の規定を確認しましたね。
また、「寄付は贈与だけれども、国も地方公共団体も「ありがとう!」とニコニコしてもらってくれないのです。
その根拠は、国有財産法や地方自治法にあるのです」というお話をしましたね。
今回は、地方自治法によると「負担付き贈与を受ける場合は議会の議決で可能」となっていたので、
そんな事例があるんではないかな?と考えてみました。
さてさて。。。国はだめでも地方公共団体ならばというケースがあるかもしれませんね。
市町村によって寄付をうけつけてくれるところがあるかもだが、結論は・・・・
身近な大阪市は不動産の寄付についてどう扱っているの?
まずは大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)が所在する大阪市での扱いを調べてみました。
※引用元 大阪市HP https://www.city.osaka.lg.jp/keiyakukanzai/page/0000501560.html
不動産の寄付については、次のように扱っているようです。
以下、引用より
本市が土地・建物等の不動産の寄附を受けるに当たっては、その不動産が行政目的に供することができるかどうかが判断の基準となり、以下の2通りの手続きがあります。
なお、物件によっては寄附収受できない場合もあります。
【用途指定される場合】
当該行政用途を管轄する局へ申出てください。
道路用地として土地の寄附を申出る場合は、建設局総務部管財課(06-6615-6482)が窓口となります。
【用途指定されない場合】
契約管財局管財部管財課が窓口となり、本市の各局へ行政利用の調査を行います。
本市の行政目的に供することができる場合に、当該行政目的に関係する局へ申出ていただくことになります。 申出を受けた関係局からの依頼に基づき、契約管財局管財部管財課が寄附収受手続きを行います。
ここまで引用
やはり、公共目的のみ寄付OKということですね。
地方公共団体で不動産の寄付を受け入れた有名な事例「藤子・F・不二雄ミュージアム」
株式会社藤子・F・不二雄プロと藤子正子氏から川崎市が条件付きで建物の寄付をうけた事例です。
市長が下記の内容を寄付の条件として議会の議決をとりました。(平成21年9月3日)
※引用元:川崎市公式HPより
https://www.city.kawasaki.jp/980/cmsfiles/contents/0000019/19801/gian_094.pdf
寄付の条件は
・川崎市は覚書を遵守すること
ミュージアムの管理運営のこと、事業内容のこと、知的財産権の帰属についてなど細かく定められていました。
・川崎市は建物を第三者に譲渡しないこと
川崎市以外のところにわたらないようにということですね
・寄付者に対して瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)を追及しないこと
寄付したんだから、建物の問題点がでてきても責任負いませんよということ
・川崎市が前各号に違反した場合は寄付者は契約解除できる
これをみると、寄付した側の条件が多いですが、藤子不二雄プロから川崎市への愛を感じますね。
では国民が不動産を寄付したい場合は地方公共団体はもらってくれるのか?
ズバリ言います。可能性がないわけではないですが、市町村に寄付を受けてもらうのはハードルが高いのです。
どうしても寄付受けてもらえるのかを確認するのはどうしたらいいのか、
もし寄付を受けてもらえるのであればどんな手続きがあるのか?ですが、
一般的には次の流れで進めます。
1,不動産の所在する市町村の担当課を調べて寄付を受け付けてくれるか聞いてみる。
その際には、不動産の所在のわかる地図、不動産の登記事項証明書、などの資料を持っていくのがいいです。
まずは電話で聞いてみましょう。
公共に用いることができる不動産ならば寄付可能かもしれませんが、ハードルは高いようです。
2.寄付を受け入れることができる不動産なのかどうか市町村課の調査が開始します。
3,受け入れられる場合は次のような書類を提出します。
寄付申出書
登記事項証明書・公図・不動産の写真
所有権移転登記承諾書
③財務省が不動産の寄付を受ける方法について検討に入りました
以上をみると、「公共性の高い土地や建物」しか寄付として受け入れてくれないのです。
自治体が受け入れてくれる空き家は、倉庫・防災に適した施設、公園に活用できる不動産、住民の交流場所くらいです。
最近では、街づくりのために観光名所になりそうな不動産は寄付を受け付けている自治体もあると聞きます。
このような現状が原因となり、空家や空き地が増え続けております。
そこで、財務省が、国が土地の寄付を受け付ける方向で法整備を開始するとのことです。(2021年3月13日日経新聞より)
今後の展開が期待されますね。
では、寄付が叶わなかった場合、だれにもらってもらうのか?
国や地方公共団体への寄付ができない場合は、次の方法を考えてみてください。
まずは、その不動産の隣接地の土地所有者にもらってもらえないかと聞いてください。
ただし、贈与税の問題があるので、詳しくは専門家に相談しながら進めましょう。
次に、認可地縁団体やNPOで、不動産の寄付を受け付けているところを探しましょう。
それでも難しければ、不動産のプロである宅建業免許をもつ不動産業者に相談しましょう。
空家や空き地が多いこのご時世、どのような手を尽くしてでも不動産を処分したいというニーズは高いですね。
不動産が「負」動産と言われるゆえんです。
そのような問題の相談も大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)にちょこっと聞いてみてください。なにかお役に立てるかもしれません。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。