「大きく動いている!所有者不明土地問題について⑥~2023年に施行される2つの法律」
大阪相続遺言相談センターです。
いつものワタシのスタッフ日記を読んでくださりありがとうございます。
残暑厳しき折、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
ところで、今日は、最近よく取引先やお客様からのお尋ねされる
「不動産の登記が変わるって聞いたけれど、なにが変わるの?」
「所有者がわからない不動産の扱いが変わるってホント?」
というご質問について、掘り下げてまいります。
以前のスタッフ日記において、5回に分けて「今年大きく動く!所有者不明土地問題について①~⑤」と題して平成30年6月6日成立、令和元年6月1日施行の「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」について書きましたが、今回からはその続編です。
以下、過去記事をお読みください。
①所有者不明土地の現状は
②所有者不明土地が生まれる理由
③相続登記の義務化について
④不動産所有権の放棄について
⑤所有者不明土地管理命令について
このシリーズでは、令和3年5月発表の法務省民事局「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」という資料から抜粋しながら、2021年4月28日交付後2年以内に施行される予定の2つの法律「民法等の一部を改正する法律(民法等一部改正法)」「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(相続土地国庫帰属法)」について、わかりやすく説明してまいります。
今回の内容
6回目の今回は、上記2つの法律が目指すところ、法律の目的についてご説明します。
<2つの法律から変わるコトは3つある>
最近、所有者不明土地問題が深刻です。
所有者不明土地とは、
1. 不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
2. 所有者が判明しても、その所在が不明で連絡がつかない土地
のことをいい、平成29年国交省発表によると、所有者不明土地ができる原因は「相続登記が未了であること(66%)」「住所変更登記が未了であること(34%)」という内訳です。
その背景や問題点はすでに①と②で述べましたので省略しますが、この問題解決のため、前述の2つの法律を成立・公布しました。
この2つの法律から変わるコトは次の3つです。
1つ目:登記がされるように相続登記・住所変更登記の申請を義務化すること
③相続登記の義務化についてで記述済みですが、これ以外にも「相続人申告登記の新設」や「所有不動産記録証明制度の新設」「住所変更登記未登記への対応」 が注目される改正ですね。
2つ目:土地を手放すための制度である「相続土地国庫帰属制度」の創設
④不動産所有権の放棄についてで記述済みのため省略します。
3つ目:土地利用に関連する民法の規律の見直しがはかられること
⑤所有者不明土地管理命令についてで記述済みですが、これ以外にも「長期間経過後の遺産分割の見直し」も気になる改正ですね。
なんだか難しい改正ばかりではないですか?
しかし、九州の土地面積ほどもあると言われている所有者不明土地を減らす・増やさない活用するためには必要な改正ばかりですし、われわれ相続の専門家にとってはお客様のために動けるチャンスなのです。
では、次回以降で、「相続人申告登記の新設」および「所有不動産記録証明制度の新設」について説明してまいりますので次回のスタッフ日記をお楽しみに!!
この記事を監修した行政書士

P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。