「大きく動いている!所有者不明土地問題について⑦~新しくできる相続人申告登記制度とは?」
大阪相続遺言相談センターです。
秋の夜長にはワタシは自宅で仕事やパソコンでの映画鑑賞にふける毎日です。
緊急事態宣言がまた延長になり出かけるのは不安ですし、なるべくステイホームしております。
みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
ところで、前回のスタッフ日記では、令和3年5月発表の法務省民事局「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」という資料(サイトリンク)から、2021年4月28日交付後2年以内に施行される予定の2つの法律
・民法等の一部を改正する法律(民法等一部改正法)
・相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(相続土地国庫帰属法)
について、「2つの法律から変わるコト3つ」をお伝えしました。
今回の内容は??
今回はその3つのうち一つ目である「相続人申告登記」について、現時点で法務省が発表している内容の範囲でお伝えしますね。
参考に前回のスタッフ日記はこちら
「大きく動いている!所有者不明土地問題について⑥~2023年に施行される2つの法律」
変わるコト1つ目より「相続人申告登記制度」ってなあに?
今般、「相続人申告登記」という制度が新設されますが、いったいどのような制度なのでしょうか?気になりましたので調べました。
以下は、令和3年3月法務省民事局民事第2課参事官室作成の「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」および「民法・不動産登記法部会第26回会議(令和3年2月2日開催)において決定された民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」より引用して述べます。(参考記事)
「相続人申告登記制度」とは、
不動産の所有者を被相続人として相続が発生した場合に、その相続人が自らが登記名義人の法定相続人である旨を申し出ることにより、簡易に相続人であることが登記される制度のことをいいます。報告的な登記制度です。
この登記は 相続人一人のみからの申出でも登記可能ですし、登記の際の添付書類も簡素化されています。
申し出をした相続人がいたら、登記官がその者の氏名および住所等を職権で登記するのです。
なお持ち分は登記されないようです。
※民法・不動産登記法部会第26回会議(令和3年2月2日開催)において決定された「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」より抜粋しました説明文も掲載します。
相続人申告登記(仮称)とは
「死亡した所有権の登記名義人の相続人による申出を受けて登記官がする登記とし て、相続人申告登記(仮称)を創設し、次のような規律を設けるものとする(注1)」。
1.前記(1)①の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続 が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出る ことができる(注2)。
2.②前記(1)①に規定する期間内に前記①の規定による申出をした者は、前記(1)①に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。
3.③登記官は、前記①の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる(注2)。
4.前記①の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を 取得したとき(前記(1)①前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割に よって所有権を取得したときを除く)は、当該遺産の分割の日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
5.前記④の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、同④の規定によ る登記がされた場合は、適用しない。
(注1) これは、相続を原因とする所有権の移転の登記ではなく、①の各事実についての報告的な登記として位置付けられるものである。
(注2) この場合においては、申出人は当該登記名義人の法定相続人であることを証する情報(その有する持分の割合を証する情報を含まない)を提供しなければならないものとする。具体的には、単に申出人が法定相続人の一人であることが分かる限度での戸籍謄抄本を 提供すれば足りる(例えば、配偶者については現在の戸籍謄抄本のみで足り、子については 被相続人である親の氏名が記載されている子の現在の戸籍謄抄本のみで足りることを想定し ている)。
大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)スタッフのワタシのつぶやき
相続人申告登記は、登記義務を履行させるための簡易な画期的な制度ですね。
しかし「報告的登記」ということは、「所有権が移転したことを証明できるわけではないもの?」「相続手続きしたあとで売りたい場合はどうしたらいいの?」という疑問がわいてきました。
調べますと、この相続人申告登記は相続登記ではないので、その後不動産を売却するためには、やはり相続人全員の協議による相続登記や法定相続による相続登記をおこなわないといけないのです。
ワタシの疑問!
ん?これでは問題の先送りなのでは?と思いませんか?
なぜならば相続人が複数いる場合に、とりあえずやっておこうという相続人申告登記をしておいても、登記義務を履行したことになるだけで、やはり相続問題は残ったまま売ることもできないのですから。
ほか、気になるのは、固定資産税の納税義務者を変更することと、相続人申告登記との関わりはどうなるのかな?ということです。
相続登記ではないので、実際固定資産税を払う義務は誰が承継するのかな?と。
調べておきますね。
相続登記が大きく変わる2023年に向けて、専門家として常にアンテナ張っておき、知り得たことはどんどんこのスタッフ日記にて公表しますことが好評であるようです(→関西人なので最後はネタで終わらせてください。。。)
なお、相続人申告登記については司法書士の業務ですので、今日のお話はあくまで一般的な内容を説明しただけであります。
実際に相続人申告登記のご相談をお受けしたときは、大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)の協力先司法書士が大阪相続遺言相談センター(運営:P.I.P総合事務所)にてご相談に応じますので、ご了承ください。
この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。