認知症について法律専門家が知っておくべき法律以外のこと③「若年性認知症」
大阪相続遺言相談センターです。
いつもワタシのスタッフ日記を読んでくださりありがとうございます。
例年とは違い今年は6月末に全国的に梅雨明けし、猛暑の日々。水分補給、休憩をこまめにおこない、外にお出かけの皆様、熱中症にはお互いに気をつけましょう。
本題へ!
ところで、大阪相続遺言相談センターでは、相続手続・遺言作成サポートの専門家として、日々生前対策や相続発生前のご相談にも対応しております。
相続のご相談以外にも、認知症のかた、認知症が心配なかた、ご高齢の家族を介護されている方に対してサポートができることがあるのではないかと考え、「認知症の人々の看護」の専門書を読み、そこから学んだこと、気づいたこと、これから生かしていくべき知識についてこのシリーズで書いております。
本シリーズ第3回目は「若年性認知症」についてお話しします。※このシリーズ、相続手続・遺言作成サポートの専門家が独自に勉強したことに触れております。
※参考文献 「認知症の人びとの看護 第3版」 監修・編集 中島紀恵子 医歯薬出版株式会社
今回この「若年性認知症」について書こうとおもったのは、実は以前、40代の方が相談に来られて
「今のうちに遺言書をのこしたい。任意後見契約も」
とおっしゃったことがあったのがきっかけです。
その相談者は初期の若年性認知症の診断を受けたということで、今は薬が効いていて症状が落ち着いているとのことですが、今後症状が進行してしまったときに奥様が困らないようにとのことでした。ご自身のことだけでも大変なところ、ご家族に対してとても思いやりのある方だと感じました。
ワタシ自身若年性認知症について何も知らなかったので、このたびいろいろな資料を読んだことを簡単にまとめてみたいと思います。
では、ここでは、ワタシのことばでかみ砕いて「若年性認知症」について述べますが、現在では適切ではない言葉による表現も含まれていますが、医療用語としてやむを得ないことをご了承ください。
若年性認知症について知ることで、法律専門家がすべきことが見えてきた
若年性認知症の統計は?
若年性認知症の調査結果についてさまざまな方面で調べました。
そもそも65歳未満の認知症調査は正確なのだろうか?と思いながらです。
このたびいくつかの調査結果から引用してお伝えします。
まずは一つ目です。
- 参考文献 「認知症の人びとの看護 第3版」 監修・編集 中島紀恵子 医歯薬出版株式会社より
この文献の記載によると次の通りです。
認知症研究の第一人者 朝田隆氏が2006年~2008年に行った調査結果では
全国における65歳未満の若年者の認知症の推定患者数は37,800人と算出された。18~64歳人口における10万人体の患者数は47.6人で、男性57.9人、女性36.7人であった
次に二つ目です。
東京都健康長寿医療センターが2020年7月27日に発表したデータより
これによると次の通りです。
若年性認知症の有病率は18~64歳人口10万人あたり50.9人、つまり総数は35,700人と推計される。
※調査年月日及び調査主体
2017~2019年度に日本医療研究開発機構認知症研究開発事業によって実施した
2つの結果からわかること
これらの2つの結果からわかるのは、この10年で若年性認知症の患者数は増加していないということです。ほぼ横ばいなのです。
全国で35,000人超の若年性認知症の方がいらっしゃるのです。
若年性認知症のサポート体制はどうなっているのか?
東京都保健局のホームページを調べました。ここには平成22年に作成され、平成29 年に改訂作業がおこなわれた「若年性認知症ハンドブック」というものがあります。
引用元
このハンドブックでは7つの章にわけて、医療、介護、労働、金銭面 に渡り、必要な情報が盛りだくさんです。例を挙げますと次の通りです。
医療について
「若年性認知症の基礎知識と病状」「早期発見の重要性」「認知症の専門病院受診について」
介護について
「介護保険制度、障がい福祉サービス事業の活用について」
労働について
「就労時の支援について」
金銭面について
「傷病手当金や障害年金などの年金制度の活用について」「企業との連携について」「高額療養費制度について」
ワタシの気になるポイントと気づき
若年性認知症の人数、ハンドブックに記載されている認知症の人への支援について見てみると、若い方が認知症になった場合の相続への備えについては記載があまり見られませんでした。
前述のハンドブックには「成年後見制度」のことはちらっとは書かれてありました。
しかし、後見人がついたあとどうなるのかなど、詳しいことはほとんど書かれていません。
若年性認知症は働き盛りの年齢の方がなってしまうことから、症状そのものは「疲れや寝不足」「更年期障害」等によるものとして考えてしまいがちだそうです。
そうして病院の受診が遅れてしまったりときには認知症だと気づかれず症状が進行していってしまったりするそうです。小さな異変を見逃さず受診して検査することが大事ですね。
働き盛りで家族を養う必要があり、また家事育児を担っていかなければならない65歳までの若年層にとっては、自分が認知症となり今までのように働くことができないばかりか、周囲に迷惑をかけてしまっていること自体が大変なストレスでしょう。
同時に認知症と診断されてしまった方を支える家族のかたも、突然のことに事実を受け入れるだけで大変なストレスでしょうし、実際に介護となるとなおさらです(でもそれは、ひょっとしたら若年性でなく高齢による認知症でも同じことなのかもしれません。)。
ほとんどの方がそうなってから後見制度のことを知りますので、もっと早く制度のことを知っておけばよかったと思われる方はたくさんいらっしゃいます。
このスタッフ日記を読んでくださったみなさまのなかには若手の方もいらっしゃるかと存じます。
今は成年後見制度や遺言・相続手続きには縁がないのかも知れません。しかしながらこれからの人生は長いです。一度は相続手続き・遺言、そして成年後見と関わりあいを持つことになる可能性があります。
今は、ご自身でネットなどで知識を得ておくくらいで十分かもしれません。ぜひ知ってください。そして実際に手続きが必要となりましたら、大阪相続遺言相談センターの無料相談にお越しください。
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この記事を監修した行政書士
P.I.P総合事務所 行政書士事務所
代表
横田 尚三
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
「相続」、「遺言」、「成年後見」
- 経歴
P.I.P総合事務所 行政書士事務所の代表を務める。 相続の相談件数約6,000件の経験から相談者の信頼も厚く、他の専門家の司法書士・税理士・公認会計士の事務所と協力している。 また「日本で一番お客様から喜ばれる数の多い総合事務所になる」をビジョンに日々業務に励んでいる。